思いっきりホラー。
●『赤い爪あと』菊川近子
私は、小学生の頃はなかよし→中学生の頃にりぼんを主戦場(?)としていたので、それ以外の掲載作品は、友人同士で雑誌や単行本を貸し借りして読んでいた。
この作品は、友人から借りた単行本で知り、全2巻なのにとても長く感じたし、2巻の表紙がおっかなくって手元に置きたくなく、読み終えてすぐに返した作品である。
絵柄は正統派少女マンガだ。
登場人物は可愛きれいなのに、
隣り合うホラーシーンのおどろおどろしさよ。
内容は吸血鬼モノで、
少女マンガに吸血鬼の設定はよく出てくるが、
その大方を占める耽美的なものではなく、
吸血鬼となってしまう原因が宇宙から降ってきたアメーバー。
それも寝ている間や失神している間に、
口からズルズルと体内へ入り込む。
ガスマスクでもしない限り防ぎようがないじゃん。
今回自分の記憶を照合するため、
作品の内容を確認し直したのだが、
かなりのページ数を費やして吸血鬼にひたすら追いかけられる主人公のシーンの記憶がまるでなくて、
「これもし本当にあったら絶対イヤだ」
というシーンが、
たった1コマなのに強烈に焼き付いていた。
というか、あのシーンって本当にこの作品だったっけ?ということの確認だったので、
記憶が合っててホっとしたのだけどそのシーンは、
学校の屋上の給水タンクに沈む、血を吸われて絶命した女生徒。
発覚のきっかけは、水道の蛇口から出てくる髪の毛と、水の変なにおい。
体育の授業の後で汗をかき、水道で生徒たちはみんなバシャバシャゴクゴクやってたのだ(確か。そこまで照合しきれてないので違ったらすみません)。
事実が分かると生徒たちは騒然。まあそうだろう。
で、その騒ぎの中でモブ男子が言い放つ。
「ゲーッ、オレ飲んじゃったよ!」
そうだよねえ。悼む前にまず気持ち悪いよねえ。そんな水飲んじゃって、自分の体が心配だよねえ。
絶命女生徒の変わり果てた描写もさることながら、
モブ男子の冷たいようでリアルな一言に妙な共感を覚え、
セットで忘れられないシーンとなった。
そう、よくある吸血鬼の設定は、
血を吸われた方も吸血鬼になるのだけど、
このアメーバー由来吸血鬼ではそうならない。
血を吸われたらおしまい。
しかもアメーバーは宿主を変えるので、
アメーバーをどうにかしないことには解決しない。
では解決したのか。
これがどうしようもないほどのバッドエンドを迎える。
こんな、投げるようにこんな終わり方ってあるの?
と、終わってもなお恐怖を放つ。
どうしよう。
私寝てる時、どうしても口がポッカリ開いちゃうんだよな・・・。
ガスマスク?