物語の冒頭でのたもうてるが、
私の早口は父から「品がない。もっとゆっくり話しなさい」と言われ続けて40年、
ついに直ることはなかった。
なかった、と過去形なのは、今さらこの先直るとは到底思えないからだ。
家族で私だけなんだよなー。祖父母まで追っても。
何でかなあと考えるに、思い当たる理由が2つ。
小学3年か4年の時、早口言葉がたくさん載ってる下敷きを持ってた同級生がいて、
1人がやり出すと、我こそはとみんなやり出すので、
私のクラスでは、早口言葉が大ブームとなった。
ちょうど『8時だョ!全員集合』のドリフ合唱団のコーナーでも早口言葉をやっていたから、全国的にも流行っていたと思う。
その下敷きの早口言葉の中に、ひときわ長いものがあった。
正しく記憶してるかアヤシイが、覚えているまま書くと
神田鍛冶町の角の乾物屋で勝栗買ったが固くて噛めない 返しに行ったら勘兵衛のかみさんが帰ってきて癇癪起こしてカリカリ噛んだらカリカリ噛めた
というもの。長いだけで難しくはない。
難しくないからなおのこと、スピード勝負になる。
私はこれに精を出した。
で、この時の成功体験が理由その1かと。
ちなみにこれまでで最も難しいと感じた早口言葉は
池袋サンシャインシティ新春シャンソンショー 出演はジャズ歌手シャンソン歌手シュツットガルト少年少女合唱団
である。
サ行とシャ行が交じるの、ムズっ。
理由その2は、気質。
言いたいことは伝え切りたい。
今でこそ、そこまで言わなくてもいいかと思ったり、言葉を小出しにして相手の反応次第で言うのを止める、というすべを覚えたが、
昔は全部言わないと気が済まなかった。
自然と口調も早まろうというもの。
せっかちな面もあったと思う。
理想は、『続・猿の惑星』でミュータント同士が繰り広げるテレパシーのやり取りなんだよね。
思考を一瞬で伝送。いいなあ
と、思っていたこともあった。今もまあまあ思う。
思うけど、言葉を練る作業の楽しさも知っているから、前ほどではなくなった。
それと、興奮するとしゃべるの早くなるかな。
あー、あともう1つ。
YouTubeを1.5倍速で見るのが当たり前になった。
口調の早さを耳で聞き慣れてれば、似た早さが口をついて出るもんだよね。
気を使ってもらってたのか、言いづらかったのか、
その早口が不快だ、と、はっきり言われたことがない。父以外。
でも言われなかったからよし、とは毛頭思わない。
目指すのは、口調の早さを都度自覚できるようにすることと、
緩急を使い分けること。
テクニックとしての話術ではなく、
相手の気持ちに合わせられるように。
40年続けてしまった ただの早口習慣を、
場面に応じて使いこなそうと目下奮闘中である。