綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

この少女マンガが怖かった! 2

この作品の怖さは"人の業"とも言える。

 

●『悪魔(デイモス)の花嫁』

 原作:池田悦子 作画:あしべゆうほ

 

主要人物が美少女・悪魔・悪魔の妹で、特に主人公の周りで起こる人間模様のオムニバス。

一話完結方式だから、主要人物同士の関係の設定さえ分かってれば、どこから読んでも楽しめる。

あしべ先生の美麗な絵にうっとりしていると、

恐怖のシーンで突き落とされる。

すべての話が怖いわけではなく、

やるせなくなる話もある。

なので、悪魔を通して人の欲望を描く作品だ。

少女だろうが乙女だろうが、

友人だろうが家族だろうが恋人だろうが、

見栄、執着、自己保身、歪んだ愛情などなどを、

容赦なく描く。

 

んで、そういえばとふと思ったのは、

笑ゥせぇるすまん藤子不二雄A

なんかちょっと既視感があったのだ。

どちらも人間の欲望を拡大させ、

その対象こそ違えど一話完結の方式ほぼ同じ。

さすがに美しい悪魔がドーン!とはしないが、

欲に溺れて良からぬ結末を迎える話運びは、

すでに学習済みであった。

 

読む側の欲望を満たすのは、

悪魔のカッコよさ。

大人の悪い男の色気にやられてしまったのは、私だけではあるまい。

ちょいワルどころではないのだ、本当に悪いのだ。

悪魔だから。

キャンディ・キャンディのテリィなんかカワイイもんだ。

(そもそも比べるのが間違ってると自分ツッコミ)

そして冷酷になりきれない部分がたまにチラッとあらわれる。

たまらん。

 

主人公は、顔よし・スタイルよし・性格よしとそろい過ぎ、当然モテモテ。

それが同性の嫉妬を買いまくる。

が、人を呪わば穴二つ。

というか、主人公はその穴に落ちないので、

貶めようとした方だけが落ちていく。

そんな話で私がとても怖かったのは、

貶めようとした方が顔をケガして、

包帯を取ったら目の周りにびっしりと細かいアザができてしまっていたシーン。

私はそのシーンの絵で、自分が集合体恐怖症だということを知った。

けど知ったって怖さって減らないもんだなあ。

 

この作品、初出は1975年。

かの大河マンガ『ガラスの仮面』と同じ年だ。

そして、どちらも未だ完結せず。

最終回を見届けることはできるのか。

これもまた、恐怖。