綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

おほし カポカポ

今夜はクリスマスイブなんだが、

クリスチャンじゃないからなのか、

明日の本ちゃんクリスマスより、イブの方が盛り上がる日本人のなんと多いことでしょう。

まあ明日は平日だしね。

 

家はクリスチャンではなかったが、

子どもの頃、日曜学校に通ってたことがある。

近所で通ってた子たちと一緒に、子どもだけで。

私は小学校に上がってたか、まだか、そこら。

なので、大人が読み上げる聖書の節も、

神父さんのお話も、

何にも意味が分からなかった。

ただ、「天にまします我らの父よ、」と唱えるのは

大人っぽくてカッコいいと思ってた。

 

日曜学校の教会では、全体の集まりの後に、年代別の集まりがあった。

私は一番下の幼年部で、

聖書の話が分かりやすく描かれた絵本を読んだり、

賛美歌を歌ったり、絵を描いたり、折り紙折ったりをみんなでしたが、

それらは遊んでいるだけと思っていて、

教義はからっきしだったけど楽しかった。

 

ある時、幼年部の先生が言った。

「クリスマスのミサに発表会があるから、みんなで練習しましょう。」

年代別のそれぞれの部で、ミサに演し物をするという。

演し物の記憶はおぼろげだが、まずみんなで歌う賛美歌を決めた覚えがある。

今では賛美歌の題名も番号も覚えていない。

けれど、今でも2番までなら歌える。

1番の出だしは「おほしが光る ピカピカ」。

2番の出だしは「ラクダが通る カポカポ」

ところが、一番肝心なのは3番の歌詞で、

1番と2番を合わせたところにイエスの話が登場するのだが、すっかりすっぽ抜け。

調べれば出てくるだろうが、

そこまでして歌いたいわけじゃないから、3番は忘れたまま放置している。

で、その時はみんなで毎週賛美歌と演し物の練習をした。

この賛美歌の歌詞がかわいくて、メロディーも明るくて、とても好きだった。

 

本番は夕方に近い午後からだった気がする。

何せ、ミサだから。

普段は朝イチで教会に行くのに、

遅い時間に行くなんて、とそれだけでワクワク。

ほら、子どもは暗くなったら自動的にお家に帰るよう設定されてるから。

教会に着いたら、ドリフの合唱団みたいな白いスモックを着て、

先生に言われるがまま、並んで座った。

演し物の番が来て、練習通りにハプニングもなく進んで、賛美歌を歌った。

他の部の演し物も神父さんのお話も一通り済んだら

小さな手持ちの燭台が全員に配られた。

順番に、ろうそくに火が灯されていく。

室内の明かりが暗くなると、

皆が手に手に持ったろうそくの火が一面に浮かび上がった。

ミサのクライマックスだ。

 

ミサの内容はほとんど覚えていないけど、

この光景の厳かな美しさだけは覚えていて、

クリスマスイブになると思い出す。

一緒に、あのかわいくて明るい賛美歌も。

 

そんな経験があっても、その後クリスチャンになることはなく、

むしろ中学生以降は神社や仏像に興味が湧いたりするのだが。

そして、ミサの記憶があっても、

今となってはごちそうとイルミネーションを楽しむだけのクリスマスを過ごす私は、

『迷える子羊』ではなくイブの方が盛り上がる日本人の1人であった。