見切り品ゲッターの私にとって、夕方以降のスーパーほど蠱惑的な場所はない。
肉や魚の生鮮品が、
消費期限が限界の日配品が、
同じくパンが、
惣菜や弁当が、
店員さんの手によりジャカジャカと値引きシールをまとっていく。
放っておけば奈落の底に落ちて行く食べ物たち。
見過ごすわけにはいかない。
私が救ってあげなければ!
と義侠心に気持ちよく酔いしれながら、食べ物もそうだけど どちらかというと自分のフトコロを救うがために、それらをカゴに入れていく。
もちろん、食べ切れずに家で捨てては意味がない。
献立や食材の組み合わせを考えながら、しっかり選ぶ。
決して片っ端から見つけてはカゴにぶち込むわけではないのだ。
しかし、値引きシールを貼られた品々は、口々に私に訴える。
買って買って、お願い買ってー!
私とて、救えるものなら皆を救ってあげたい。
だが、フトコロがそれを許さない。
迷った末に買わないと判断したものには、
きっと他の誰かが求めてくれるよ
と、言い訳までしてそっとその場を離れる。
とまあこんな一人遊びまで楽しめる。
ビバ スーパーマーケット!
それにしたって、いつもはもうちょっと慎重になるのだが、
値引きがパワフルだとつい買いすぎてしまう。
アジの尾頭付きの刺し身が半額。
生食用ボイルえびが半額。
黒酢ダコが半額。
ホタテかまぼこが半額。
ヤク◯トが半額。
パック入り惣菜の うの花が半額。
全長25cmのチキンカツが2割引。
パイ饅頭が半額。
本日アイス全品半額。
冷凍の馬肉のユッケなんて約7割引。
これでも厳選に次ぐ厳選。
店頭には、もっともっとたくさんの値引き品がこれでもかというほどあって、
選ぶ喜びと選べない苦しみとで終始悶絶。
会計を済ませ保冷バッグに詰める頃には、
頭がプスプスと煙を上げてる心持ちだった。
反対にフトコロは涼しいような。
帰ってきて、買ったものを冷蔵庫にしまいながら、
また、やっちまった・・・
と独りごち、
その日のうちに食べなければならないものと、明日以降でも保ちそうなものとを仕分けて、
必ず食べ切る、と誓うのだった。
そして自分に予言する。
きっと また やっちまうだろう。
ああ 楽しくて罪な場所 スーパーマーケット!
さーて、気を取り直して
まずはアジのお刺し身から
いただきまーす。