実家から帰る道すがらのことである。
身内が駅まで送ってくれていた。
暖かいが、少し風が出てきたなあと思いながら、
駅まで歩いている途中、横断歩道を渡ろうとしたら
足元に違和感が光った。
見ると、歩道に敷かれたタイルの間、土が一筋のぞくところに、
スッポリと はまった薄緑の真ん丸。
あ、何かの飾りの先っちょっぽい。かわいそう。
なぜ「かわいそう」と思ったのかは分からないが、
瞬時に指で掘り出すようにつまみ上げ、
とりあえず横断歩道を急いで渡った。
渡り終えて足を止め、拾い物の汚れを軽く落として
よく見てみると、
薄緑の真ん丸は、どうやらアベンチュリンという石のようで、
ビーズ細工に使う針金(Tピン)が通してあり、一緒にピンクのビーズも付いてて、針金の先の輪が崩れていた。
無理な力がかかって、せっかく丸めた輪が崩れて、
はずれて落ちたんだな。
身内は「よくそんなの気が付いたね!全然気付かなかったよ!」と驚いていたが、
私は道の落とし物(動物のそれではなく)を見つけやすい方かもしれない。
が、見つけても自分の物にすることはまずなくて、
踏まれたり蹴られたりして汚れないように、
かつ、落とし主が見つけやすそうな場所に、
見つけた物を置いておくようにしている。
だって、引き返して探しに来るかもしれないし、
私も何度も、落とし物を探して同じ道を行ったり来たりしたことがあるし。
なので、そのアベンチュリンのビーズ細工も、
どこか分かりやすい所に置こうとした。
が、良さそうな場所がないし、モノが小さいから見つけてもらえそうかどうか、と考えていたら、
「そんなわざわざ探しに来る人なんかいないよ。置いたって、誰も持っていかないよ」
と身内に言われ、それもそうかも、と思ったので、
このたびはガメました。
(ちなみに、最近見つけた大物の落とし物は、
地元の交差点に落ちてた大きなマフラー → 歩道だったので、植え込みのツツジに乗せて置いた と東京駅の八重洲南口近くの通路に転がってたディズニーキャラクターのぬいぐるみ → 八重洲南口改札の駅員さんに届けた
の2つ。持ち主の元に戻ってるといいな)
さて、拾ったアベンチュリン。
拾う時に「かわいそう」って思っちゃったからね。
帰宅後、水で洗って、お香の煙をくぐらせて浄化。
そして、せっかくTピンが刺さっているので、
今バッグに付けているストラップに一緒にぶら下げることにした。
ビーズ細工、20年前のブームの時にやってたから、
この程度のことは何も手間じゃない。
丸カン(つなげるための針金の輪)も平ヤットコも持っているし、
Tピンが金属疲労起こして使えないようだったら、
代わりが何本でもあるし。
が、金属疲労の心配はなく、丸カンも出番がなく、
ものの5分で、ストラップに追加された。
20年前と違ったのは、老眼で手元が見えづらかったことだけだ。こればっかりはね。
なおこのストラップは、お守りだ。
このブログにちょいちょい出てくる神社好きの同行者が、
櫻木神社を訪れ、そのおみやげでくれたもので、
ピンクの桜の花の形をしたかわいいお守りだ。
そこに薄緑のアベンチュリンが加わると、
何でかおいしそうな色合いなんだな。
自分の正当化だろうけど、
もらっちゃおうと思えたのもご縁かも。
落とし主さん、ごめんなさい。
もし探し回ってたら、腹の底からごめんなさい!
代わりに大事にするからね。