NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で
漫画家の青山剛昌氏が取り上げられていた。
私は氏の作品『名探偵コナン』のファンではない。
原作もアニメもそこそこしか見たことがない。
この番組を見たからといって、作品に強く興味が湧き始めたということもなかった。
ただ、どの職業だってそうだけど、
一心不乱にその道を進んだ人には、突き抜けた純粋さがあるもんだなあと感じた。
今回は対象が漫画家なので、
NHKEテレで不定期に放送する『浦沢直樹の漫勉(または浦沢直樹の漫勉neo)』で取り上げられてもよさそうにも思えたが、
『漫勉』が制作の様子だけを追うのに対して、
『プロフェッショナル』は制作現場以外の活動にも密着するから、
映画の舞台挨拶や作品をコンセプトにしたカフェや氏の来歴やご両親の話などを織り込むには、
『プロフェッショナル』の方が枠が広くて合っていたのだろう。
『漫勉』見てても、今回の青山氏を見てても思う。
クリエイターって向き不向きがキッパリしてるな。
ゼロから1を生み出せるかどうか。
そしてその身の削り方よ。
ちばてつや氏のように、長く長く現役で活躍する人もいるが、
様々な理由で短命な人の報も見聞きする。
話を生み出すのに、じっと考えて苦悶して、
頭を働かせるのに糖分は必要だけど体は動かさず、
話が決まったら絵を描き始めて、
疲れても眠くても〆切に間に合わせようとする。
体を壊すわけだ。
前に脚本家の三谷幸喜氏が
『徹夜明けはゲッソリ太る』と言ったか書いたか。
さすが文筆家、うまいこと言うもんだと思ったよ。
青山氏もたぶん、ずっとゲッソリ太り続けてきたんだろう。
生み出し続けた分として。
生みの苦しみを知りながら、
「今はまだつらいより楽しいが勝ってる」と言うが
あまりにもがむしゃらにやってきて、以前一旦手術と長期入院の強制休養が入ってる。
楽しくても、ワクワクしてても、
過労は過労だからね。
仕事の量を何年か前から半減させたとナレーションがあったが、
年齢に加えて疲労の蓄積もあるはず。
しっかり休みも入れてほしい。
ただこういう人って、頭で分かっててもおそらくつい仕事してしまう人だろうな。
純粋だから。
「あなたにとってプロフェッショナルとは?」
お決まりの最後の問いに、
「どんな窮地に陥っても、その状況をおもしろがれる人」
と答えた青山氏。
苦しさも疲れもすべてひっくるめて楽しいんだろう。
天職を得た人は、誰しも底にこういうものを持っているような気がする。
単に稼ぎを得るためじゃない。
人を楽しませるために、自分もおもしろく楽しい。
だからプロフェッショナルたり得るんだね。
青山氏、密着お疲れ様でした。