綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

光の億年の先へ

詩人の谷川俊太郎氏が亡くなった。

初めて氏の詩に触れたのは、国語の教科書で。

小学6年の終わり頃じゃなかっただろうか。

『生きる』という詩で、その中に

「それはミニスカート」という一節があり、

「ヤダ〜 ミニスカートだって〜」と子どもたちはその言葉の表面だけクローズアップして、

意味なんか考えようともしなかった。

それからすぐに再びまみえたのは、

中学1年になってすぐの

『朝のリレー』。

そっか、こっちの日没はどこかの夜明けなんだ、考えたこともなかった と、

地球を眺める視点をもらった。

(ちなみに、標準子午線の通る兵庫県明石市が日没の時、夜明けを迎えるのは太平洋のど真ん中のキリバス共和国だそう)

教科書の作者紹介の欄に、「代表作は『二十億光年の孤独』」とあったが、

図書館で実際に手に取ったのは、確か高校生になってから。

もうタイトルでやられてしまう。何てカッコいい!

作者の名前の響きも漢字もさわやかで、

勝手にとんでもないイケメンを妄想した私だよ。

父より年上だなんて思わずに。

 

その後も言葉の世界のあちこちに氏はおわし、

私は特にファンでもないのに、氏の作品をよく目にした。

スイミーも、マザーグースも、

声に出したい言葉の連なり。

もうかなりのお年だよなあと思っていたから、

訃報は驚きではなかった。

ついにか、というのが正直な気持ち。

でも、たくさんたくさん、言葉を残してくれた。

読んでないものの方が多いし、

読んだものは、繰り返し、読み返せばいいことだ。

 

さっき、『生きる』の全文を読んで心底思った。

ここに大事なこと全部書いてあるじゃん!

涙腺緩んでまうわ も〜〜。

誰だよ「ミニスカート」しか読んでなかったヤツ!

40年の時を経て、やっとまともに噛みしめられたような気がする。遅っ!

 

ところで「光年」という単位は、

地球上で使われることはまずない。

二十億光年ってどのくらいだろう?

と、星の距離を調べたら、

北極星は431光年、

オリオン座のベテルギウスは642光年、

同じ星座のリゲルは864光年、

牡牛座のプレアデス星団は444光年、

蠍座のアンタレスは554光年、

調べた中ではおおいぬ座シリウスが一番近くて8.6光年。

星以外だと、

オリオン大星雲まで1344光年、

アンドロメダ銀河まで2537光年。

銀河鉄道999の移動距離ってそんなにあったのか)

じゃあ宇宙の果てまでどのくらい?と調べると、

現在は464億光年とされているようだ。

二十億光年の距離感、まったく掴めませんでした。

けどもう、そんな物理的距離とは違うところへ

行かれていることだろう。

 

何だかんだ書いたが、

氏の数々の作品に会えたことは、

豊かな経験だったし、これからもそうなるはず。

谷川俊太郎さん ありがとうございました。