先月行った美術展の話である。
どのように感想を書こうか、ずっとモヤモヤしていたのだが、
思うところは膨大にあれど、
まとめるには自分の知見も技量も及ばず、
しかもネットで調べると、本人のインタビューも専門家の意見も読むことができるので、
いっそ水たまりの端っこでパチャパチャやってる幼な子のような感想でいっか
と開き直った次第だ。
ここへきてやむに止まれぬサンサシオン
東京・京橋のアーティゾン美術館で、
11月19日(日)まで開催中である。
アーティゾン美術館って聞いたことないなあ
と思いながら現地に着き、美術館についての説明を読むと、
「前身のブリジストン美術館」の語句。
あ、あ~ブリジストン美術館か。
そういや石橋財団って書いてあるじゃん、石橋!
ほとほと勘が悪い。
チケットは事前にネット購入。
原則、来館前にウェブ予約チケットを購入するのだが、予約枠に空きがあれば窓口で当日チケットも買える。
私は行くと決めた当日の朝にネットで購入したが、
予約が埋まってたらどうしよう、と不安になりながら手続き。空いててよかった。
さて、拙い感想でザックリ書くと、
とにかく情報量が多かった。
絵を描く人だが絵に留まらない。
体感する箱モノ展示もあれば、
マンガ形式でひたすら文字を読んで、山口氏の思考の追体験をしたり、
(またその文字が美しくてたまらない。ズルい。)
マンガ形式どころか実際に雑誌に掲載されたマンガの原画あり、
これ絶対に趣味ですよねと問いたい建物の立体模型風あり(仕事の一環ならすみません)、
絵であれば、西洋画の模写による発見と分析と解説あり、
気の遠くなるような描き込みの、鳥瞰図の大作が何点もあり。
どれもこれも、
数秒眺めて終わり、なんてとてもできず、
隅から隅まで舐めるように眺めても、まだ足りない。
大きい作品なんて、上の方がよく見えないから脚立がほしくなる。
これまでいろんな美術展を見てきたが、
1㎡当たりの滞在時間はおそらく過去最長だ。
ワンフロア展開で、でも会場はだだっ広いわけではない。
眺め尽くしてなお味わいたい作品ばかりだった。
氏は入口の挨拶文で
「どうぞ模写してください」と言っていたが、
挑む人いんのか?
私が訪れた時にはついぞ見かけることはなかったし、日本の美術館って模写OKしてない印象が強いから、初めから模写する気満々で来る人はいないと思うので、いたら2度目以降の来展者と思われるが、
もしいたら、その人も作品の一部として取り込まれかねないんじゃなかろうか。
そう思ってしまうのは、
氏の作品が、実寸法を超えて広がっていると感じるからだ。
気が付けば全力以上で鑑賞しており、
体力が保たなくて後半は納得いくまでは鑑賞しきれず、終盤は若干離脱気味だった。
つまり、すべてをしっかりと鑑賞できていない。
加えて、受けた感銘を語るには、
私の言葉は浅い。
それは、山口氏がこれからも素晴らしい作品を生み出す方で、
通りすがりの美術好きがあれこれどうこう言うなんて、
ただただ不遜でしかないからだ。
家族や友人などの狭い関係になら如何様にも話せるが、
ここは公共の空間のガラス張り専用スペースなので、
もどかしくもここまでにしようと思う。
そしてここでも
おみやげクリアファイルを買った私だよ。