プラネタリウムに誘われた。
場所は千葉県市川市の
千葉県立現代産業科学館。
本八幡駅北口から、科学館に隣接するショッピングモールまでバスが出ているので、それに乗って行った。
もちろん帰りに買い物するのが前提だ。
同行者は千葉県民ではないのに
この科学館をこよなく愛しており、
ガイド役もしてくれるのでありがたい。
入館料は、通常期間だと一般300円、
プラネタリウム期間や企画展期間では500円。
ということは、プラネタリウムは通年見られるわけではないということか。
それにしたって、プラネタリウム込みで全館500円で見られるって安すぎる!
だいたいは別料金か、込みでももっとするのに。
同行者が言うには、毎年夏だけMEGASTARの投影がされており、自身にとって年中行事になっている、と。
MEGASTAR、私は初めてだ。
プログラムは3種類用意されていて、
上映期間で見られるものが異なるが、
今回は期間中ずっと上映されている『千葉の星めぐり』を見ることにした。
MEGASTARとは、プラネタリウム・クリエーターの大平貴之氏が開発・制作した投影機で、
それまでの投影機制作の常識を覆したに等しい。
この方、高校の卒業式の日に、学校の中庭からロケットを空高く打ち上げて卒業証書を取り上げられるという武勇伝をお持ちだ。
常人には及ばない思考がぶっ飛んだ行動を生み、それまでになかったものを作り出しちゃうんだな。
MEGASTARで映された天の川の真っ白な部分をオペラグラスなどで見ると、
本当に星が1つ1つ光っているのだと同行者は言う。
絶句。
ほぼ狂気(半分褒め言葉)。
プラネタリウムはシアター式で、座席が階段状に一方向を向き、投影ドームは背中側が少し欠けた半球だ。
私が子供の頃は、座席が中央の投影機を向いたドーナツ状で、投影ドームも丸々半球だったものだが、
今や主流はシアター式なんだな。
鉄アレイ型のそびえるような投影機が懐かしい。
まだ現役の所もあるようだけど。
MEGASTARは噂に違わぬ素晴らしさ。
私は高校生の時分に、文化祭でプラネタリウム解説員をしていたが、
あまりに星が多すぎて星座の形を拾えない。キー!
早見盤からやり直しだあ。
上映プログラムの見どころは、千葉県各地の絶景と星空とのコラボレーション。
実際にその地に行って撮影したものなので、
その臨場感たるや。
中でもとびきりワクワクしたのは
夜の成田空港を飛び立つ飛行機のコックピットから見える風景。
両側に青い誘導ランプの光る滑走路を離陸し、雲をくぐってまた越えて、一面に広がる星空!
パイロット気分まで味わえるとは。
さらに現代の空だけでなく、100年前の夜空も再現。
その舞台も、千葉県立房総のむら で撮影という細やかさ。
本当に、隅から隅まで美しかった。
そしてエンドクレジットで流れるスタッフロールには、何度も大平氏の名前が。
他のスタッフの名前も複数回出ていたが、断トツで。
少数精鋭と思われる(有)大平技研。
自分が納得するものを提供したいのだろうということがうかがえた。
上映後、同行者はMEGASTARの写真を撮りまくってた。毎回そうだと言う。
そこまで大きくないが、存在感がある。
形がちょっとスター・ウォーズのR2ーD2みたい。
頭が丸いからか。
プラネタリウムだけでなく、常設展示も楽しかった。
現代産業科学の展示なので、毎日お世話になっている科学技術の知識を学ぶことができる。
よく来るという同行者は当然見飽きてると思いきや
「説明を読んでも理解できないから、来るたびに新鮮で楽しい。」
返事に困る。
かく言う私も、理解にかけてはかなり怪しい。
何となく分かったつもり、で済んでしまう。
それでも、ここまで産業を発展させてきた科学技術と、それを発見・開発した先人たちと、現在引き継いで稼働させている方々に、心から尊敬と感謝を送りたくなる。
今の暮らしは ひたすら おかげさまです。
科学の体験ゾーンでは、
夏休みの家族連れがわんさか遊んでいた。
子供たちのはしゃぎ声と笑顔がそこここに溢れている。
大人だっておもしろいよね。
「もっとたくさんの子供たちに、こういう所に来てほしいよ」と同行者。
うん、同意。
科学館を出ると、外は酷暑の快晴だった。
さっきまで星空見てたんだよな。
昼でも夜でも、いつでも空には星がいる。金子みすゞがうたったように。
けど真夏の真昼のおひさまには誰もかなわない。
アチイィィ〜!