綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

虫、そんなにダメ?

近頃、虫が苦手という人が増えている気がする。

見慣れないものは怖いから、

セミの抜け殻に怯える幼児は仕方がないとして、

小学生以上で男なのに怖がるんだ

と言うと差別発言になるけど、私が子供の頃は男子の夏は虫採りだったから、つい意外に思ってしまう。

 

私自身は別段好きでも嫌いでもなくて、

捕まえたくもなし、逃げ惑うでもなし。

嫌いな虫はいるけど。

ゴキブリを筆頭に、

ダンゴムシ以外の足が多いやつ、

血を吸うやつ、

刺してくるやつ、

噛みつくやつ、

毒のあるやつ、

春に道の真ん中でワンワンと群れていてたまに目の中に飛び込んでくる羽虫、

生ゴミにたかる小バエやチョウバエ、

呼んでもないのに勝手に入ってきてすごい勢いで部屋中飛び回るハエ。

 

それら以外なら、ただ眺めたり、それ以上の関わりをすることもある。

例えば今の時期に多いが、

住んでいる集合住宅の廊下で

ひっくり返って手足をジタバタさせるカナブンに日を置かず3度遭遇。

すべて姿勢を戻してやったが、

3匹目の時はさすがに、なんで君らは会うたびにひっくり返ってるんだと文句の1つも出たもんだ。

 

ある時、まあまあ混んでた電車に乗っていたら、

開いた窓からバッタが2匹入ってきて飛び回り、

ちょっとざわつく乗客。

1匹が窓の日除けの布にとまると、

その前というか下に座っていた学生くらいのお兄さんがそっと立ち上がり、

どうぞと席を譲ってきた。

次の駅まではまだあるし、そんなに年に見えないはずだし、え、もしかしてバッタですか?

「ボクこういうのダメなんで」

ほえ〜。

だってバッタだよ?や、イナゴかもしらんけど、顔似てるからおいといて、仮面ライダーのモデルだよ?それとこれとは別?えーダメなんだ。

そのお兄さんは隣の車両に移っていき、席は他の人が座り、私は同じ所に立っていた。

 

するとどこかにいたもう1匹が、私のすぐ前のこれまた学生くらいのお姉さんが提げていたショルダーバッグのストラップにダイレクトオン。

お姉さんにとっては背中側なので、気付いていない。

私は考えた。

もしここで知らせて、お姉さんも虫が嫌いで怖がらせちゃったら、居合わせる乗客みんなが不快になるだけ。

またどこかに飛んでいくかもしれないし、飛ばずによじよじと移動してお姉さんが気が付いた時に、捕まえるなり何なりでフォローできるようにスタンバっておこう。

次が終点でみんな降りるから、バッタがそのままだったら電車から出た時に声を掛けよう。

 

果たしてバッタはストラップのアクセサリーのようにじっとしており、電車は終点に到着した。

私は不審者のようにお姉さんの後ろにくっついて電車を降りた。

降りてすぐ、お姉さんにすみませんと声を掛け、

実はあなたのバッグのストラップにバッタがいるんです、取りましょうか?と知らせると、

お姉さんはそーっとストラップををずらしてバッタを確認し(なおも動かないバッタ。よほどそこが気に入ったのか)、

「あ~本当だ。いえ大丈夫です。平気なんで」

と、笑顔で去っていった。

平気で良かった。

そして、さっきのあんちゃんとはえらい違いだな、としみじみしたのだった。

 

あれかな、親がやたらにイヤがって、

それを見ていた子供もイヤがるパターンあるのかな。

それなら男女関係ないし。

 

以前NHK Eテレで放送されてた『香川照之の 昆虫すごいぜ!』という番組の中で、忘れられないことがあった。

モンシロチョウの回。

初めてモンシロチョウをつかむというスタジオの若い女性がとってもおっかなびっくりで、

正しいつかみ方でつかんだ後、香川氏に

「害はないですか?」

すると香川氏、

「害はないよ!むしろこの子にとってお前の方が害だよ!」

なんと明確な優先順位。

この人の昆虫愛は本物だ、とよく分かったひとコマだった。

動物の生態の番組は昔からあるが、虫の生態に特化した番組は見たことがなかったから、実に興味深かったのだが、

諸般の事情で制作されなくなったのはまったく残念だ。

 

この先は食料として活用する動きがあるが、

食べるのはさすがに抵抗がある。

国内に食文化としてあるのも知ってるし、実際に口にしたこともあるけれど

(酒の席で「先輩が持ってきた虫が食えないのか」と差し出された)

決しておいしいとは思えなかった。食文化地域の方々すみません。

しかし食わねば命の危機となったら

否も応もなく食べるだろうな。

そこまでの世にならなきゃいいな。

 

見た目でムリなら仕方がないけど

知るとけっこうおもしろいよ、虫。