綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

咲けば菜の花

先日生協から届いた野菜セットには、

有機農法の小松菜が入っていた。

すぐには食べず冷蔵庫で保存していて、

ある日、お味噌汁の具にしようと調理を始めた。

 

ほうれん草なら、軽く洗った後の下ゆでと水さらしの間に、根元の砂粒が抜けていく。

小松菜は下ゆでせずにそのまま調理できるから、

根元の茎の間に入り込んだ砂粒を、よく洗わなければならない。

からしっかり洗おうと、根元の茎をかき分けたら

 

どう見ても 花のつぼみが 育ってる

 

全体の長さは短いが、株の中央に細長い花穂ができており(花序という)、薄黄色の小さな粒がたくさんやわらかそうに並んでいた。

周りの葉の茎たちにスッポリと守られている姫君の如し。

って、これまで幾度となく小松菜を調理してきたが

小松菜の花(のつぼみ)にお目見えするのはこれが初めてだ。

長ネギならあるよ。冷蔵庫でネギ坊主が伸びたの。

ちょっと膨らんでツンと尖った先端部を切ってみると、中につぼみの粒がたくさん入っててさ。

そもそも長ネギは生命力が強くて、

使いかけを冷蔵庫に入れてても、その中でも芯が成長を続けて伸びるから、

ネギ坊主もできるんだなあと合点がいった。

それでも使うエネルギー量は大きいだろうし、その分味も落ちるのかもしれないけど、

そこまで味を追求しないから、それはよし。

されど、此度は小松菜である。

 

小松菜はアブラナ科の野菜だ。

アブラナ科の野菜は他に、

キャベツ、白菜、大根、ブロッコリーからし菜、かき菜などがある。

このアブラナ科の花を総称して、菜の花という。

アブラナ自体が菜花として春の野菜だし。

つまり、今回育った花も食べられる。

もし、このままどこかに地植えして新たに根が生えて根付いたら、

ニョキニョキと伸びた花穂が、花を咲かせたかもしれない。

が、そんな余裕はないので、食うべし。

守りの葉を取り除き、

いたいけなつぼみの姫君を、お味噌汁の鍋に投入。

洗って刻まれた守りの茎や葉とともに、おいしく煮えたのだった。

 

思えば白菜も、

玉買いしたら芯のオシリから切り込みを入れておかないと、

外葉の栄養が中心部に供給されて、味が落ちる。

根がなくても、生命を長らえさせる仕組みになっているのだ。

今回の小松菜も、たまたまつぼみ持ちだったから、同じようになったんだろう。

同じ袋の他の株ではそんなことなかったから。

しかしまさか、小松菜の花を賞味するなんて思わなかった。

菜花ほど主張しない、すっかり出汁の味だった(煮過ぎ)。

生命力のおすそ分け、ごちそうさまでした。