綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

夏祭り 海沿い地区編

市の中心街とは別名の、海沿い地区でのお祭り。

私がぜひ見たかったのは、

お神輿の海中渡御。

お神輿を担いだまま、担ぎ手が海の中に入るのだ。

お神輿を出す神社は2日間に渡って祭礼中。

神社の場所は少し離れているのだが、

前日に、神社の向こう側の区域を練り歩き、

2日目の昼にこちら側の区域を廻って、

最後に海に入って締めるのだ。

廻る範囲がそれは広いので、交通規制に無理があるのと担ぎ手の健康ため(推測)、こちら側を廻る時はお神輿がトラックの荷台に乗せられている。

夕刻、夏祭りの会場の手前でお神輿が降ろされ、

会場の中を担がれて通り、浜まで行った。

 

浜には急ごしらえの鳥居があり、両脇に竹も立てられている。

その鳥居の前にお神輿を据え、氏子さんたちがあっという間に四隅に竹を立てて、その周りを紙垂の付いた綱で囲む。

神域の出来上がりだ。

浜の手前に神楽用の屋根付トラックも止まり、

お神楽を奏で、翁面が舞っている。

そのうち巫女舞の奉納が始まり、

姫舞の奉納で鈴がシャンシャン鳴らされ、

終わると見物人がわらわらとトラックの方へ寄っていった。浜とは逆方向だ。

何かと思っていたら、前に立った人たちが見物人に向けて何か投げ始めた。皆さん手を伸ばして取ろうと必死。

餅まきか。へー、夏の神事で餅まきかあ。

 

餅まきが済むと、いよいよだ。

神職さんが祝詞を奏上する。

お神輿から鳥居までの道には各町内会の提灯が高々と掲げられ、町内会長さんたちが裃姿で並んで頭を垂れている。

祝詞が終わり、天狗面が神域の綱を矛で断って、

お神輿が鳥居をくぐって海へと担がれていった。

時刻は午後6時過ぎ。

 

海には入るが、担ぎ手はお神輿を濡らしてはいけない

濡らさないように揉んで浜に上がる、を3度行う

午後7時に満潮を迎えるので十分注意するように

という申し渡しが事前に頭領からされており、

といっても担ぎ手の皆さん胸まで浸かって

重いもの肩に乗せながら息を合わせて水中を行ったり来たりは重労働だ。

夕暮れの海にきらめくお神輿と、白い祭装束の人々。

見物人の手に手に上がるスマホとカメラ。

ねぎらいの惜しみない拍手。

白い三日月が光り出して、浜上がり3度目が終了。

 

お神輿は鳥居をくぐってトラックへ直行。

鳥居もすぐさまバラしにかかっていた。

氏子さんたちは、これから神社に戻ってお神輿の宮入りだ。

そこまでは見届けないので、

屋台とキッチンカーと仮設ステージで喧噪の夏祭り会場へ戻った。

時刻は午後7時。

 

午後7時半から、水上ナイトショーで花火が上がるというので、適当に場所を取って待つことにした。

空いていたのがズラリと並ぶ分別ゴミ箱の前だったので、人がゴミを捨てやすいように少し前を開けて立っていたら、男女2人がスルリと入ってきて塞がれてしまった。

しょうがないのでそのまま待ち、アナウンスでショーの協賛が読み上げられて、始まるぞ。

と、始まったのは和太鼓の演奏。

バチさばきもキビキビと、合いの手で声を上げて盛り上げるねえ。

・・・10分経過。うん、聞き応えあるねえ。

・・・20分経過。リーダーらしき人が

「こんばんは!皆さん夏祭り楽しんでますか?」

あれ?花火は?

そして今度は笛も加わり、和太鼓続行。

技術、お見事です。お見事ですが、花火・・・。

と思っていたのは、私だけではなかった。

私の前に入ってきた女性がけっこうな大声で、

「太鼓なんか聞きにきたんじゃないんだよ。さっさと花火見せろよ。いつまでやってんだよ!」

太鼓の彼らには聞こえないけど、それ言っちゃうんだ。

彼女は7時半からスマホ2台を録画モードでスタンバイしてた。インスタライブを配信するつもりだったのに、一向に花火が始まらなくて怒りが頂点に達したらしい。

結局、和太鼓の演奏はたっぷり30分やったのだった。

 

水上ナイトショーというだけあって、

まずは音と光の噴水ショー。

曲の盛り上がりに合わせて噴水が上がったり揺れたり、光も原色からパステルカラーまで様々。

その後で、曲に合わせた花火ショー。

玉を打ち上げるのではなく、下の筒から連続してシパパパッと打ち上がる花火だった。

筒が動くから、花火が扇形に広がる。

至近距離だからなかなかの迫力。

噴水ショーと花火ショーが交互に行われ、ちょっと飽きてきたなーと思っていたら、

見越されたかのように、同時に上がり出した。

これはどっちを見ていいか分からない。

目は花火に向いてしまうが、噴水もきれいなのだ。

そして視界に同時に収まってくれないのだ。クーッ。

 

ふと、ライブ配信中の前の彼女のスマホ画面を見ると、花火の光がハレーション起こして何だかよく分からない。

肉眼だと花火の粒がこんなに鮮明なのに。

直に見られて良かったな、とヘンなところで小さな幸福を感じた夜だった。