歯の治療をしている。
久しぶりに通う歯医者は、かつて待合室にあった雑誌のたぐいがなくなっていた。
今みんな待ち時間にはスマホ見てるし、
だったら読まれもしない雑誌を毎号買うのはコストがかかるし、なくすの分かる。
では何もないかというとそうではなく、壁にモニターが掛かってて、その歯医者独自の映像が流れている。
歯磨きのしかたとか、
こんな治療法があるとか、
歯周病の怖さとか、
審美歯科のこととか。
その中に、会社で先輩に話しかけたらクッサイ息でグチをこぼされはじめ、という映像があり、
会話しながら先輩の様子を観察していた後輩が、
「先輩、もしかしてドライマウスじゃありませんか?」
と切り出して、
そこからドライマウスの症状と放置した時の良くないことを、なめらかに過不足なく説明していく。
その詳しいことといったら、
あなたもしかして副業で歯科助手とかしてますか?
就業規則は確認してますか?
と画面に向かってツッコミたくなるほどだ。
もし実際にクサイ息でグチを吐かれるような場面に出くわしたら、
先輩の様子を観察して、一人になった時に『息がくさい 病気』でこっそり検索するくらいじゃないか。
やはり副業してるのか。それとも最近増えている副業OKの会社という設定なんだろうか。
と、有意義な待ち時間を過ごせる歯医者だ。
他にも、通信教材の案内マンガがにおう。
学校の成績が芳しくなく悩む主人公には、
学業も部活も両立できてキラキラと輝いて見える先輩とか友だちとかがいて、
その理由を聞くと「これをやってるんだ」と通信教材を知らされて、
そこから滔々と良い事尽くしの説明が主人公になされる。
その順番は完璧で、何も見ずともどんな疑問にもスラスラと答える様に、
実は何度もプレゼンの練習してませんか?
思いっきり営業かけてますけど、入会一人につき謝礼をもらってるんじゃないですか?
と勘繰りたくなるほどだ。
そして主人公は必ず入会し、
さあ、次は君の番だ!と畳みかけて終わる。
いやいやいやいや・・・。
『日ペンの美子ちゃん』は、詳しくてもいい。
だって『日ペンの』って所属を明らかにしているんだから、
説明がしどろもどろでは逆に心配になってしまう。
ペンパル版もなんかあったような。
でも所属でないのにやたら詳しいのは、
アヤシイ。
という遊びが近頃楽しい。
ヒマなのか?ヒマじゃいけないんだけどな。