『鳥人間コンテスト』のように必ず毎回ではないが、
『魔改造の夜』もモノ作り精神に溢れてて見てしまう番組だ。
んで、鳥人間が正統派なら、
魔改造はヒネてておかしい。
何がおかしいって、
改造の方向がまったく無意味なのだ。
例えば、赤ちゃん向けの動く動物のオモチャなら、
爆速仕立てにして50m走のタイムを測る。
または大玉ころがしをさせてタイムを測る。
ポップアップトースターなら、
パンを焼いた上で、焼き上がったパンをいかに高く上がらせるかの高度を競う(パンが崩れたらOUT、この回では約10mの記録が出た)。
いや求めてるのそこじゃないし、という機能を増強するなり加えるなりして、参加チームは試行錯誤を繰り返す。
その過程は、正にモノ作りであり、目指すものに真摯であり、熱い。
先日見た放送は
「洗濯物干し25mロープ走」
角ハンガーに、タオル・Tシャツ・靴下を干した状態で、ロープを走らせタイムを競う。
「これに、より早く走ってほしいと思ったことは一度もないですね。」
思ったことのある人がいたら聞いてみたい。
同じく出演者で魔改造倶楽部顧問に作家の新井素子氏がいて、元気そうだと嬉しくなった。高校生の頃楽しませていただいたので。
魔の技術者と呼ばれる出場チームは3団体。
企業や学校の名称は頭文字だけアルファベットなので、推測もできるし(例えばH田技研、Yマハ発動機)、何なら作業着やヘルメットにガッツリ名前が出てるから、バレ前提のボカシ。
くすぐるなあ。
今回は企業2社に高専1校だった。
(正確には前回放送も同じチーム。第何弾の第一夜、第二夜とあって、今回の放送は第二夜だった)
試技の前に、それぞれが作品とその名前を披露する。
その形や大きさがそれぞれまるで違い、
まずそこでアプローチへの考え方がこんなにも異なるのかと驚かされる。
大元は同じ物を使っているのに。
一応縛りはある。改造の予算とか、元の形を崩しすぎないとか、元の動作を一部残すとか。
その上で、お互いに「そうきたか」と探り合ってる様子が、技術者魂を感じておもしろい。
本番は 夜会 と呼ばれ、試技が2回行える。
試技の前の決まり文句は
「では、悪魔の降臨です!」
どのチームもテストを繰り返して、納得した状態で持ってきてるのに、
悪魔は悪夢を見せてくる。
記錄なし とか 失格 とか。
だからこそ、
成功した時は見てる私もガッツポーズしてしまう。
そしてライバルなのに、他のチームも一緒に成功を喜ぶのだ。
今回参加した高専生には最高学年の5年生がいて、夜会の日は卒業式当日だった。
第一夜はうまくいかなかったのだが、第二夜にあたる今回、鮮やかに成功し、卒業証書の代わりにかけがえのない経験と大きな喜びを手にした。
他チームの人たち、中立なはずの顧問や解説も、涙とともに拍手。
逆に、中には一度も成功しなかったところもあった。
すると、他のチームも一緒に顔を歪めたり、「なぜだ?」とつぶやいたりして、決して「失敗したぜイエーイ」とはならない。
ライバルだろうが同じ目標に向かって成功してほしい、と思えるのは、きっとモノを作る人たちだからだ。
それがとてもすてきなことだと思わせてくれる。
笑いあり、苦悩あり、熱のこもった実況と大真面目な解説あり、的確なコメントあり。
『魔改造の夜』の夜会もいいぞう。
それにしても、毎回アサッテの方向への改造を課題にしてくる制作側の発想の突飛なこと。
ここのトガり具合が最も悪魔的だわ。