こらえきれずに おでん。
寒くなれば おでん。
今夜のご飯に決めていた。
下ごしらえは昨日から。
大根だけは下ゆでしておかないとね。
スーパーで、おでんセットを買ってから、
今日のこの日を待っていた。
ったって、別にそこまで好物なわけでもないが、
おでんつゆもセットに入ってたから、作るのがラクなのだ。
セットに無くて食べたい具材は、
はんぺん、うずらの卵入り練り物、餅巾着。
これは別に購入。
大根の下ゆでなんて、吹きこぼれに注意して、
ゆで中放置、火を止めて放置でいいし。
(火を使っている時はそばを離れず、時々様子を見ながら放置)
子どもの頃は、ちくわぶが好きだった。
言ってみりゃ小麦粉餅だ。
煮込むと周りがとろけて、味がしみ込んで、トロトロのモチモチ食感。
今は糖質を控えめにするため、入れなくなった。
子供の頃からずっと変わらず好きなのは、はんぺん。
頬張ると、あの柔らかさで幸せになる。
ある日、小学生の私は母がご近所さんと夕ご飯のことを話しているところへ通りかかった。
ご近所さん「うちは今夜おでんにしようかしら。うちの子、はんぺんのブワーッて膨らんだのが大好きなのよね。」
母、私を見て「うちの子は膨らんだ後のキューッて締まったのが好きなのよ。」
・・・え?なに?
はんぺんって、ブワーッて膨らむの?
キューッて締まったのが好きなのよって、これまでそれしか見たことないよ?
私の知らないはんぺんがいる?!
小さなショックを胸に、後で母に聞くと
「だってブワーッて膨らんでもすぐしぼむのよ。」
そのブワーッを見せても食べさせてもいないのに、
キューッてしぼんだのが好きはないだろう。
結局、その後もおでんのたびに締まったはんぺんを食べ続け(でも好き)、
ブワーッと膨らんだはんぺんは私の憧れになった。
念願叶ったのは、家を出て自炊を始めてからだ。
はんぺん1枚独り占めできるのと、
ブワーッの状態を見てやろう食べてやろうとで、
ウキウキと鍋につきっきりでおでんを作った。
すぐにしぼむって言ってたからな、
食べ時を逃すものか。
さて、くつくつ煮えた鍋のふたを開けると、
そこには はち切れんばかりに膨らんだ白いかたまりが、並んで鍋を埋め尽くしていた。
こ、こんなに膨らむものなんだ。いっそ壮観だ。
冷めたらすぐにしぼむんだよね、急げ!
とお椀に取ろうとすると、菜箸が食い込む。つぶれるぞ。おたまですくえ。
さあ、念願の、ブワーッはんぺん、いざ実食!
・・・どうやら私の好みは、長年食べてきた食感に固定化されてしまったらしい。
泡のように柔らかく、おでんのつゆよりはんぺん自体の味がするのに違和感を禁じ得ず、
残りの白いかたまりは、しぼむのを待ってから食べたのだった。
なので、今夜のおでんのはんぺんも、
つゆを吸いなからしぼんだものだ。
母よ、確かに私はこれが好き。
大根も味が染みてる。
じゃが芋は入れない。くずれてつゆが濁るから。
タモリ氏は玉ねぎを丸ごと入れると言っていた。
今度やってみようかな。
昆布、こんにゃく、さつま揚げ、他。
おつゆもお椀にたっぷり張って。
野菜が足りなくなるから、
レンチンしたにんじんや小松菜で和え物作って。
今シーズンの初おでん。
あと何回作るかな。