例えば、あるイベントに行きたかったとしよう。
前日から楽しみにしてて、
当日も朝早くから準備していた。
身支度に取りかかり始めると、
突如痛みとともにギュルギュル鳴るお腹。
えっ何で?昨日も今朝も変なモノ食べてないよ?
冷やしてもないよ。あいたたた。
と、トイレに入るがスッキリしない。
痛みが引いたから、トイレを出て身支度再開。
すると再び痛みとギュルギュル。
トイレに入る、スッキリしない。
トイレを出る、するとまた・・・と、
入ったり出たりを3〜4回繰り返して1時間以上経過。
せっかく早起きしたのに意味なし。
繰り返すうちにお腹はスッキリしてきて、
もう大丈夫だろうと玄関を出た、としよう。
駅に向かうまでの道では、
踏切で停められてる車の列がやけに長いと思う。
駅に着いたら救急車が停まってる。
警察もいる。
改札口に人が群れてて、駅員が対応している。
なにこの物々しさ?
「人身事故で電車走ってないって。」
えっここで?どこで?
二駅先の駅だった。ここに救急車いらんじゃん。
とにかく電車は走ってない。なのに踏切が開かないから、車の列が延びるわけだ。お気の毒に。
てか他人事じゃないわ。行き方変えなきゃ。
乗ろうとしたのがA社の鉄道だとしよう。
近くにB社の駅がある。
そして目的地の最寄り駅はA社の駅の方だけど、B社の駅からもバスを使えば行ける。
よし、B社の鉄道で行くぞ。
と思ったら、改札で払い戻しを受けた女性が駅員に
「B社の駅へはどうやって行くんでしょう?」と聞いているのが聞こえた。
「私そちらに行きますから、よかったら一緒に行きましょう。」
と声を掛け、B社の駅まで一緒に行くことになった。
A社の駅からB社の駅までは、道が入り組んでいて説明もしづらいし、知らないと方向が分からなくなって迷う。距離は近いのに道のりが近くないのだ。
女性は朝こちらに用事があって来たから、周辺をまったく知らないと話した。
朝はA社線が走ってたのだが、帰ろうとしたら事故発生で止まったという。
事故の発生時刻を聞いたら、
ほぼ私が家を出た時間だった。
そんなタイミングってある?、としよう。
ほどなく、複数路線が通るB社の駅に着き、女性と別れ、
何となく路線図を見て、発車案内を見ると、
どうやらその方面の電車がすぐに出るので、
慌てて飛び乗った、としよう。
ところが乗ってる最中に、
これ路線が違うんじゃね?と気付き、
乗ってる電車の停車駅を調べたら、目的地には遠い所へ運ばれることが分かって青くなり、
幸い次の駅が他の路線に乗り換えられるから、
そこで電車を降りた、としよう。
乗り換えようとしたものの、その路線も何か違う。
通路で気持ちを落ち着けて路線図を調べると、
さっきまで乗ってた電車の終点で乗り換えれば、
目的地へ行ける駅を通る路線に乗り換えられると分かって、
もっぺん青くなった、としよう。
すごすごと、電車を降りたホームに引き返そうとホームへの階段を上っていると、
どういうわけか電車がまだいて発車のベルが鳴っている。
そりゃあダッシュで階段上って飛び込むわね。
途中駅で、通過待ちも他路線の乗り換え客待ちもないのに、何で停車が長かったのか。
しかしおかげで助かった、としよう。
とはいえ、当初の計画は腹痛の時点から崩れ去り、
ひっきりなしに足止めを食らい、
電車は大幅に大回り。
山手線に例えて言うなら、東京から上野へ行くのに神田、秋葉原、御徒町の3駅を過ごせばいいところを、反対側の有楽町から品川、渋谷、新宿、池袋と20駅以上を経てぐるっと回って行った感じ。
時間ばかりかかって、それでも目的地の駅に着いて
バスもさほど待たずに出発して、
やっと、目的のイベントに参加できた、としよう。
心ゆくまでイベントを楽しみ、
本当はもっと早く来て早く帰りたかったな、と思いながら、帰りの経路を確認する。
A社の鉄道は、すでに平常運行に戻っていた。
駅はA社の方が近い。歩いて行ける。
だがA社の鉄道だと、実は乗ってから時間がかかる。
B社の鉄道は、行きこそ大回りしたが、早く帰ることができる。今度は路線の間違いようがないし。
なので、バスでB社の駅から帰ろうと思ったが、
数分前にバスが出てしまい、次は30分後という。
そこまで待てない。それならA社の鉄道で帰るのと変わらない。
一応、出口の警備員さんに、B社の駅って歩いては行けないですよね、と聞くと、
「道があっちこっち行くし、遠いからねえ、知らないと難しいですねえ。」
ですよね。仕方ない、歩いてA社の駅から帰るか。
と歩き始めると、後ろから女性に声を掛けられた。
「私 車で来てるんで、もしよかったら駅まで送りますよ?」
マジすか!いいんすか!そらもーーなんっってありがたい!
困った時はお互い様精神だというその女性は、怪しまれて断られるかなと思いながら、私に声を掛けたとのこと。
怪しさが微塵もなかったので、こちらも素直に厚意を受けた。てか本当に助かりました。
お役に立てて良かったと笑う女性にB社の駅まで送ってもらい、
改札を通ると乗りたい電車は2分後に発車でしかも快速、それを逃すと次は30分後でしかも各駅停車。
あっぶな!
快速に乗って、あっという間にC社の鉄道に乗り換える駅に着いて(帰りは行きよりラクな経路を選んだため鉄道もう1社追加)、
C社の駅で乗り換えの発車時刻を見ると、2分後。逃すと次はその10分後。おおラッキー。
そんなこんなで、帰りは行きにかかった時間の3分の1くらいの時間で帰宅できた、としよう。
行きの時の数々の足止めは、
警告だったのか、妨害だったのか、はたまた試練だったのか。
そして帰りはワープのように止まらずに。
この行き帰りの差は、一体どういうことだと思われましょう?
無事に行けたし帰れたからいいんだけどさ。