綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

卒業ソング

クリスマスソングはいっぱいあるのに

バレンタインソングは少ない。

卒業ソングは山ほどあるのに

入学ソングはほとんど知らない。

この差は何だろな。

私が知らないだけかもしれないが、

たぶん比べても圧倒的に少ないと思う。

クリスマスはロマンチックで歌にしやすそうだし、

卒業は情緒に訴えるからかも。

 

昭和歌謡の卒業ソングだと、

柏原芳恵『春なのに』(1983年)がまず浮かぶ。

中島みゆき氏が作詞作曲で、

そこに柏原芳恵氏の歌唱力が加わり、

名曲なのは間違いない。

1番だけならソラで歌える人も、50歳以上なら多いと思う。私もそう。

ただ名曲なんだけど、湿っぽい。

曲調がゆっくりとした短調

この湿り気をよくよく考えると、

この歌、半分演歌じゃね?

日本人の好きなテイストだったんだね。

 

次に浮かぶのは、斉藤由貴『卒業』(1985年)。

これも1番だけならソラで歌え(以下略)。

そうでもないか。私が歌ってるだけだね。

この曲は、もうちょっとポップになってて

軽く口ずさめるところがいい。

半音の使われ方が、聞いてても歌ってても気持ちがいいのだ。

でもって歌詞が、

「卒業式より悲しいことで泣きたい」って言ってるんだよ。

大人というか冷静というか、

歌詞が全体的にウェットさを振り払いにいってる。

悲しさを抑えようとしてのあえてのドライさかもしれないけど、それも小気味よし。

 

まったく同時期に出されて「卒業ソング対決」となったのは、

菊池桃子『卒業ーGRADUATIONー』(1985年)。

曲調はしっとりした長調

ただ個人的に、この歌が全然ピンと来なくて、

出だしとサビしか覚えていない。

卒業と言いながら歌詞に薫風の空気を感じるし、

卒業写真をめくるだけだし。

ケチを付けるようだけど、

「あれほど誰かを愛せやしないと」という歌詞に

まるで共感できない。

もちろんそういう人もいるでしょうけど、

卒業後、新たな環境で新たな出会いがあって、

「いやー あんなんママゴトだったわー」

って振り返る可能性の方が高くないか?

作詞は誰だって調べたら、

秋元康氏でビックリした。

 

その秋元康氏が作詞したもう1つの卒業ソングが

おニャン子クラブ『じゃあね』(1986年)。

菊池桃子氏の曲の翌年に出されたが、

こちらはカラッと明るくポップな歌だ。

歌詞の内容もうなずけて、

とても同じ人が作詞したとは思えない。

涙もあるけど未来に進も!って軽さは、

『春なのに』と好対照。

だって歌詞全部で「春だから」と言っている。

この歌、ソラでは歌えないけど、

歌詞覚えてたら歌ってるな。曲が分かりやすい。

 

他に尾崎豊氏の『卒業』(1985年)もあるが、

自分がああいったカウンターカルチャーの対極にいて、「行儀よくまじめに」してたクチなので、

何一つ理解できない。

好きな人には申し訳ないけど、

「夜の校舎 窓ガラス壊してまわ」られてみ?

危ないし迷惑でしかないわ。

器物損壊以外の方法で抵抗なり対抗なりしていただけないでしょうか。

バカみたいな校則は今でもあるようだし、

押さえ付け締め付けるだけの勘違い教育者だって

体罰が許された昔はいくらでもいた。

でも、刃向かい方として賛同できない。

とはいえ、この歌を心の拠り所にしていた人も多くいたことだろう。

 

平成に入ってからの卒業ソングは、

自分の環境といくらか離れてしまったので、

特に浮かぶ曲がない。

聞いているとは思う。だけど、

自分がそのただ中にいるから、歌が入ってくるんだよね。

今回、昭和歌謡に限定したのは、

童謡や合唱曲や『みんなのうた』を入れちゃうと

キリがないから。

日本人、卒業ソングどんだけ作ってきたんだ。

そしてこれからも生まれるんだろうな。