「もしよかったら一緒に」
と目の前に差し出されたのは、半日ツアーの案内。
様々なプログラムがあり、各プログラムの催行日程はすでに決められていて、
プログラム内容への興味と日程の都合の両方がそろえば参加できるツアーだ。そんなのあるんだ。
話を聞くと、ツアーの一番の目玉はランチ。
5〜6年前から参加していて、ハズレたことがないと言う。
「全然知らなかったおいしいお店に連れてってくれるのよ〜」
と話すのは、長年お世話になっている女性。
よかったら、と言いながら全身で期待の圧をかけてくる。断れるはずもない。
万障お繰り合わせの上 ってまさにこういうことだよなあ、と思いながら、
プログラムを選んでもらい、その日に他の用件が入らないようにしたのが先月のこと。
そして今日がツアーの催行日だった。
集合場所は、日本橋三越のライオン像の前。
ただし外は暑過ぎるので、自然とライオン像側入口の店内となっていた。
お店の格に関わるからだろうが、建物の装飾につくづく手が込んでいて、見入ってしまう。
ツアーの参加者は10数人、ツアーガイドも含め全員女性で、私以外は70〜80代ほどのようだ。
予定ではすぐに移動してランチだったが、さすがに時間が早過ぎたようで、
急遽日本銀行の向かいにある『貨幣博物館』を見学することに。
徒歩3分かからない距離だ。
貨幣博物館は入場無料だが、セキュリティチェックが厳しい。飛行機の搭乗前検査並みだ。
初めてだったしお金が大好きなので、ワクワクだ。
子どもにも分かりやすく楽しめるような展示も多く
1億円の重さ体験(10kg)、金に輝く大判の重さ体験(165g)、スタンプを押してお金の学びシートを完成させるなど、
大人だって楽しく体験できちゃう。
お金の歴史を古代から、実物やレプリカとともに追っていき、
銭貨が大壺いっぱいにしこたま溜め込まれた状態で出土したという展示に、いつの時代も人は同じだなあと感じ入り(出土例はいくつかあるが、埋めた理由までは推測の域を出ないらしい)、
朝ドラ『あさが来た』の両替商ってこういうことね、とか、
最初のお札(日本銀行券)は大黒様の絵なんだとか
興味深く半分まわったところで時間切れ。
まあ、時間調整で急遽来たからなあ。
残念だけど、続きはまたいつか。
この予定外の貨幣博物館は確かに楽しかった。
そこからまたすぐのところでランチ。
入ったのは、果物屋として名の知れたお店。
レストランもあったんだ。へえ。
ここで、他の参加者は大いにおしゃべりを始めるが
どうも皆さんこのツアーの常連で、お互いにすっかり顔なじみのサークル状態。
対して私を誘った女性は、話の輪に入れないでいる。だから私を誘ったのか。
聞くと、コロナ以前は友人たちとグループで参加してたが、それぞれの事情でだんだん集まれなくなり
そのうち女性が1人でも参加しだしたのだけど、
彼女もちょっと体調を崩したりして、ここしばらく参加してなかったとのこと。
ただでさえグループが出来上がってるところに、ぼっち参加で居心地が悪く、
さらに期間も空いてしまったので、参加したいけど1人で行くには気後れしたらしい。
、ていうか、そうまでして参加したいのこれ?
どうせ1人なら、居心地悪い集団にくっついていくより1人で行ったってよさそうな。
「1人だとちょっとお店に入りづらくて。他の人と一緒だと入りやすいというか」
分からんでもないが。
ランチは普通においしかった、と書いておこう。
ただ、テーブルに飾られたミニひまわりがあんまりだった。花びらはしおれて何枚か抜けており、葉っぱの先が黄色くなってるなんての、2輪も飾る?
病葉(わくらば)にも美を見出す伊藤若冲と同じような感性を持てれば、ありかもだけどさ。
ランチの次は場所を移動し、
地下鉄で 三越前→虎ノ門、地下道を虎ノ門ヒルズまで歩いて、ドラえもんクリソツなキャラクター『トラのもん』をわざわざ見に行く。
再び地下鉄で 虎ノ門ヒルズ→神谷町、降りて最終目的地の麻布台ヒルズへ。
商業施設部分を見て回り、ガイドさんは食べ物屋で
「ここは〇〇(地名)ですっごく有名でいつも行列ができてるお店で・・・」を連発。
有名らしいのに知ってる店名が1つもなくてすみません。盛り上がれん。
チームラボのミュージアムしか分からなかった。
開放感のある中庭に出た以外はどこをどう巡ってるのか、
外国人観光客も多く人だらけの館内を10数人がゾロゾロゾロゾロ。
おしゃべりに夢中で道を塞いだり、店先の愛想のいい店員さんにてんでに話しかけたり、皆さんまあ自由だな。
さすがに隅々までではなかったろうが、あらかた見たところで現地解散となった。
できて間もないから、確かにきれいな施設。
呼び込んだテナントが、今後どうなっていくかね。
誘った女性に感想を聞くと、
「久しぶりに楽しかった。次回もまたぜひお願いします。次は9月の申し込むから」
楽しくてよござんした。
私はいろんな意味で、もうお腹いっぱいなのですが・・・。