綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

やっぱりプロにはかなわない(農業)

自給自足の生活って理想だよなあ

なんてフニャフニャ考えたりする。

無人島で「獲ったどー!」ではなく、

どこぞの兄妹のように漂流するのでもなく、

里山で、食べる分だけ野菜を育てたり、

牛や鶏を飼ったり。

日の出とともに起き、

農作業で体を動かし、

自然の恵みをいただいて、

夜ふかしせずに床に就く。

海か山か、と聞かれたら、山派である。

 

でもなあ、とも考える。

これまでも、青じそミニトマトの栽培に挑戦したことがあるが、

一度も成功しなかった。

芽が出ても伸びなかったり、枯れてしまったり、

芽が出ることすらなかったり。

ミニトマトって育てやすいんじゃなかったの?

どうも私は緑の指を持っていないらしい。

アボカドだけは、水耕栽培から土栽培にもっていくことができたけど、

それだってその前にずいぶん失敗してる。

それに土に植えて大きくなったが、

葉っぱがどうしても丸まるし、部分的に茶枯れする。

しかも実がなるまで8年くらいかかるそうだ。

桃と栗だって3年だぞ。

そのアボカドも私の背丈を越し、集合住宅のベランダでは育てきれないと判断。

戸建ての実家の敷地の片隅に地植えしたので、今はもういない。

 

んで、自分では育てたことはないが、

人様から「うちで採れたの」とたまに野菜をいただくことがある。

その筆頭がミニトマト

安心安全の無農薬だから、虫も付く。

すると形がいびつだったり、色が悪かったり、謎の傷があったり、皮が固かったり、味がなかったり。

いただいといて何だけど、まずい。

生食はハードル高いから、刻んで炒め物や煮込みに混ぜて食べる。捨てませんよ!

あと夏の定番のゴーヤ。得意ではない。食べるけど。

最近はないけど前は、実の育ち方に多様性のあるインゲンとか、オモチャのビニール製バットかと見まがうほどに大きくなったズッキーニもいただいた。

人生であんなにズッキーニを食べまくったことはなかった。

毎年何かしら野菜を育てている人でもこうなのだ。

自分で食べるために作った野菜は、おいしくなさそうだ。

青じそなんて、すぐに虫に食われるらしいし。

 

野菜だけじゃない。

お米は育てるのも収穫した後も、とにかく手間だ。

それから鶏に牛?

鶏は、野犬などにやられなければ、まだ何とか飼えそうだ。

卵を産まなくなったら締めてお肉を食べられるし、その工程も手に負える。

が、牛?雌牛?

牛乳搾りたかったら、種付けて子牛を産ませなきゃ。

余談だが、いい年した大人ですら、雌牛は育ったら自然に乳を出すものだと思ってる人がいる。

その大人が女性だと、本当に驚き呆れる。

よく考えて。あなたは勝手に自然に母乳出た?

生理は自然に来るよね。子を設けられる体になったということだから。

では母乳は?出ないよね。産んだ子にあげるものだから。

牛乳は、牛の母乳です。

だから、牛乳を搾りたかったら、まずは子牛を産ませなくちゃならんのです。

それは山羊でも羊でも、すべての哺乳類が同じ。だから人間も。

で話を戻すと、その種付けがメンドイ。

雌牛の発情の兆候を見極めて、獣医師に連絡して、どこかから凍結精子を買って、獣医師に人工授精してもらって、うまくいってもそこからおよそ10か月待たないといけないし、人工授精がうまく着かなかったら振り出しに戻る。

一年終わるわ。

牛はやめておこう。

 

そこで改めて、

農家さんってすごいなあ

と思うのだ。

自家菜園で最も手軽そうなミニトマトですら、

売り物の足元にも及ばない。

どんな作物だって自然のものだから、

味にバラツキはあるし、形がまったく同じにはならない。

だが売るための規格というものがあって、それに合うように作っている。

荒川弘先生の『百姓貴族』というコミックエッセイに、収穫したジャガイモを選別する話がある。

比喩でなく山と採れたジャガイモを、規格に合わせて次々に選別すると、規格内に収まるものより規格外の方がはるかにはるかに多い、という話。

その規格外も、まだ食用になるワケアリとクズに分けられ、圧倒的にクズが多い。

クズも捨てはせず、ほとんど加工用にまわるのだが。でん粉用など。

収穫と選別を手伝ってその実態を知った人は、選別作業の後で出されたふかし芋を「なんでも残さず食べます!」と感極まった様子で食べる。

このマンガ(アニメもある)、スーパーで売り物の野菜にぶつくさ言ってる人に見てもらいたい。

 

プロが丹精込めて作ったおいしい野菜に慣れきった身としては、

自分でどんな野菜を作れても、

物足りなかったり、ガッカリしたりするだろう。

自給自足の生活は、理想のままになりそうだ。

そして今日もまた、

自然の恵みとプロの技との融合を

ありがたく いただきます。