新聞の家庭欄に、数日に渡って
パリのマダムのおしゃれを見て着こなしを聞く連載があった。
なぜパリ?おしゃれの最先端だから?
なぜマダム?団塊ジュニア世代もアラフィフになったから?
私が子どもの頃は、パリジェンヌとかリセエンヌとかの響きに憧れを抱いたものだが、
やっぱり未だにパリなのか?
ミラノもおしゃれの街という印象だけど、
「何でパリばっかり!キーッ!」
などとミラノっ子は思わないのかな?
ニューヨークはマダムのイメージがあんまりないか。
あとどこかある?
ファッションショーのコレクションが行われる街というなら、
東京だって堂々とマダムの着こなしを紹介すればいいじゃない。
というか、その連載を読んで思ったのは、
たとえパリだろうとダサい格好の人がいるんじゃないか、むしろそっちを見てみたい ということ。
着こなせないマダム、いないかな?
勇気がもらえる気がするんだが。
あるいは突き抜けた人。
TVに出てた時の志茂田景樹氏みたいな。
若い頃は、とにかく人目が気になって、
自分が季節感からはずれた格好をしないように、
自分の感覚より周りの服装を気にしていた。
ある時、友人と旅行していたロンドンの朝、
長袖2枚くらいがちょうどいい気温だったが、
ホテルを出て歩いていると、すれ違った男性がダウンジャケットを着ていた。
そこまで冷えてないだろう、それとも寒さに敏感なのか、と思っていたら、
今度は道路脇に止められた車のトランクに荷物を積むご婦人がいて、着ていたものがノースリーブのワンピース。
同じ地域の同じ朝に、ダウンジャケットとノースリーブワンピと長袖2枚重ねが同時に存在。
その瞬間、自分が着たいものを着たいように着ればいいんだ、と気が付いた。
正反対の格好をした彼らは、自分の心地よさを追求した結果の服装なんだ。
人目がなんだ。公序良俗と公衆衛生に反してなければ、何を着たっていいんだ。
彼らのおかげで、帰国してから、例えば周りが長袖で私だけ半袖なんて場面でも、無意味に縮こまることがなくなった。
パリや白金や横浜・山手のマダムは、
ファッションを知る人から見たら、さり気なくおしゃれに着こなしているんだろう。
けどその人の着こなしが、私に似合うとは限らない。
人と会うなら失礼にならず、かつ自分がラクでいられる服装が、
自分にとって一番の着こなし術だ。
でも、ちょっとは、参考にしようかな。
自分じゃ思いつかない組み合わせもあるかもしれないし。
パリ崇拝は置いといて。