入谷は昔からある町だからなのか、
大通りをはずれると細い路地が入り組んで、
方向感覚が失われそうに思える。
地図アプリを見ても道に迷う人間にとっては、
甘い判断で近道を狙おうものなら、遭難してしまいかねない。
少々遠回りでも、ここは分かりやすい道を行くのが無難だ。
て、急がば回れって一言で済んだね。
根岸一丁目交差点を右折して、入谷口通りに入る。
しばらく行くと、通りの右側に『三面大黒天』の文字があった。
こちらも『下谷七福神』の1つのようだ。
三面大黒天?聞いたことがあるような。
そして何だかすごそう。ご利益とか。
次の目的地はまだ先だけど、ちょっと寄ってみよう
と、山門をくぐった。
お寺の名は 英信寺。
浄土宗のお寺で、ご本尊は阿弥陀如来だ。
まずご本尊にご挨拶してから、
本堂の左側の建物にお祀りされている三面大黒天を拝観。
黒ずんだお姿は、思ってたより間近にいらしたせいか、迫力を感じる。
大黒様の笑い顔が妙にリアルで、そっくりさんを探したら実在するんじゃないかと思うほど。
その後ろの右から弁財天、左から毘沙門天が半身を乗り出すように現れるが、
それぞれ片手に持物があり、衣装も表現されているので、
三面というより三身一体大黒天という雰囲気だ。
それにしても、やっぱりどこか生々しい。
半分 物見遊山な気分だったのを見透かされたように思えて、
失礼のないよう丁寧にお参りした。小心者なのだ。
拝観中に何組か訪れる人たちがいた。
1人で来ている人もいたが、家族連れが多い。
行く先は本堂でも大黒天でもなく、
本堂の右側に広がる墓地。
そうか、と気が付いた。入谷を訪れたのは、お彼岸の週だった。
私も自分の縁のお墓参りしないとな、とその時は思ったのだが、結局行けなかったな。
たぶんお盆に行くから許されよ。
根岸3丁目交差点を右に曲がってまっすぐ行くと、
左側に次の目的地があった。
小野照崎神社である。
続く