昨日のブログで、なぜか好きな花のことを書いた。
「こういうことがあって好きになった」という理由が見当たらずに好きなものは、他にもある。
古い、または古そうな建物がそうだ。
江戸期以前の木造建築はもちろんだが、
それ以降、昭和中期くらいまでのコンクリート製の建物も、物にもよるが見入ってしまうことが多い。
旧街道沿いなどは昔の建物がまだ残ってるので、
通りながらキョロキョロし通しだ。
目は忙しいし首は痛くなるし地元の人に不審がられるし、でも止められない。
25〜30年ほど前になるだろうか、国道1号線すなわち東海道を、神奈川から東京駅まで通った時は、
「今でも街の移り変わりが激しいだろう国道の両側に、まだこんな古い建物が残ってるんだ」
と嬉しくて、飽きなかった。
あの時見た建物、今はもうないだろうな。
近代の建物だと、まず外観がしゃれている。
何でもない窓枠や飾りの柱にも、細やかな装飾が施されている。
直線的なアールデコ調、流麗な曲線のアールヌーボー調にはそれぞれの美しさがあり見惚れてしまう。
皇居周辺や銀座のビルにはまだあるんだよな。
そんなところ誰が見るの、と思うほど高い所の外壁に装飾を見付けた時は、
手元にオペラグラスがないことを悔やんだ。
あとは東京国立博物館の建物。特に本館と表慶館は外も中も、階段やドアノブすら、いちいちため息が出る。黒田記念館も外見はいい感じだけど、入ったことないな。
近世以前では、観光名所になってるところで楽しむこともある。
倉敷の美観地区、白川郷や五箇山の合掌造り集落、各地の宿場町、川越の一番街商店街、佐原の町並み保存地区などは、その周辺にも昔の建物が残されていて浸れる。観光用に整備されてて歩きやすいし。
(しまった、行ったことのない場所も書いちゃった。まあ観光地の例として)
が、私が最も胸を掴まれるのは、
地元民の生活道路にもなっている旧街道に見られる
昔の家屋の名残だ。
入母屋造の大きな農家とか、
かつて商店を営んでいたと思われる厨子二階(つしにかい、と読む。ずしじゃないんだ)の大きくはない建物。
特に厨子二階の建物は、見付けるとなぜか嬉しくてたまらない。
入口の軒のすぐ上に、二階の屋根が迫っているのに
横から見ると一重の切妻屋根。
中がどうなってるのか見てみたいくらい何も知らないけど、
建物の造形だけで、何だかとても懐かしい。
住んだことないんすよ。少なくとも今生では。
もしかしたら、今生以前にも住んではおらず、
憧れを持って眺めていたのかもしれない。
よく文化財として『〇〇家住宅』などあるが、
あれはあれで興味深いけど、整えられてるせいか、
それほどそそられないんだよな~。
いつ取り壊されるか分からない、何でもない民家がいいのだ。
神社や寺院が好きなのも、
どうしたって古い建物が多いからなのかなあ。
見る専門で、建築を学ぼうとは思わないけど、
知らなければ知らないなりに感心できるものがあるのも、おもしろい。
たぶん、建物から、
人の営みを感じたいのかもしれない。
なおそんな私は、小金井市の江戸東京たてもの園をまだ訪れたことがない。
建物好きなら行かなきゃじゃんよ。何やってんの。
今から今年の目標に入れておこ。