ちょうど1年前くらい。昨年の1月下旬に夢を見た。
同じ柄のお茶碗が2つ。1つは少し欠けている。
夢の中の青年が、笠間焼だと言った。
目が覚めて、笠間焼を調べた。
茨城だよね。聞いたことはある気がするけど、
それほどメジャーじゃないような。
縁の方がこれを読んでいたら申し訳ないのだが。
普段使っている食器も、産地にこだわったことはないし、意識して買ったこともない。
それがなぜ、夢で笠間焼?
笠間に何かある?
笠間市のホームページを開くと、すぐに出てきた。
笠間稲荷神社。日本三大稲荷の1つ(諸説あり)。
ああ、おもしろそう。頑張れば行けないことはないけども一日掛かりだな。
その次にサイトに出てきたのは、
茨城に出雲大社があるとは知らなかった。
どんな感じだろう、とホームページを見てみると、
なぜそんなことになったのかを事細かに説明したページがあり、
熱い文面が読んでも読んでも終わらない。いや読み続ければ終わるけど。
仏教系でも似たような話はあるね。
宗教って所詮、神や仏がどうではなく人なんだね。
さて、夢の内容を考えた。
笠間焼のお茶碗、同じ柄が2つ、1つは欠けている。
自分の神社仏閣好きをそこに加えると、
何となく、わざわざ焼き物を買いに行くより、三大稲荷の笠間稲荷神社かな。
ん〜でも、行くのはなあ。距離が。
まあ機会があったらね、と、放置を決め込んだ。
決め込んだはずなのに。
人は、自分のフィルターを通して世界を見ている。
私のフィルターに、『笠間』の文字が引っかかるようになった。
TVを見てても、新聞を読んでても、ネットの情報でも、スーパーでの買い物でさえ、
やたら『笠間』の文字が目に飛び込んでくる。
これはいかん。私、無意識に笠間稲荷が気になってるんだな。自分を納得させねば。
何か良い方法は?と調べると、
東京の日本橋浜町に、笠間稲荷神社東京別社なるものがあることを発見。
そこなら茨城より行きやすい。
しかも近くの日本橋小網町に、パワースポットとして知られた小網神社もあるじゃん。
ハシゴすべし!
とて、ある日 日本橋へ出向いた。
夢を見てから3か月後の春のこと。
まず小網神社に向かった。
建物に挟まれ、生活道路に面した、小さな神社だ。
しかし参拝する人が大変多く、道路がホコ天状態。
車が通るたびに警備の人が、参拝客の交通整理をする有り様。
外国からの観光客も多く、授与所のお守りやおみくじも英語対応していた。
主祭神は、倉稲魂命神(うかのみたまのかみ)、ってお稲荷さんの神様に多いお名前。
あと市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)と福禄寿。
正直に言えばとても狭い境内に、銭洗いができる水場あり、福禄寿の像あり。よく詰め込んだな。
社殿の彫刻が見事だったのだが、何せ人が押し寄せる神社なので、じっくり見ることがかなわない。
というか、ゆっくり手を合わせることすら気が引ける。後ろからの圧が強すぎて。
私には、気忙しい所だった。
では、目的の笠間稲荷神社東京別社へ。
主祭神は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。
こちらの境内はもう少し広く、緑に囲まれているせいかひっそりとしていた。
訪う人も少なく、私を含めて3人。
そのうちの1人は、拝殿前で手を合わせたまま動かなくなっていた。熱心な。
授与所のお守りや御札を見ようと近付くと、ポスターが目に留まった。
『重要文化財 笠間稲荷神社 御本殿 保存修理工事への御奉賛のお願い』だったかな。
「本殿の屋根が腐食していて、とっても状態がひどいので修理します。つきましては寄付をお願いします」という内容。
ふーん、そうですか と読むだけ読んで、
おみくじを引いて帰ることにした。
だって、しっかり参拝したし。もういいでしょ。
拝殿でじっとお願いしていた人は、10分ほど経ってもまだ身動きせずお願いしていた。
長すぎない?え、生きてる人だよね?
これで、もう笠間の文字を見ることはないだろう。
ちゃんとお参りしたし、私の気が済んだから。
そう思っていたのに、
終わってなかった。
続く