綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

効率の功罪

タイトルはでかく出たけど、

たいしたことは書けないことを予めお断り。

先日、NHKスペシャル『ヒューマンエイジ人間の時代 第3集・食の欲望 80億人の未来は』を見て、

アンデスの高地で暮らす人々の農業の様子に、

しばらく考えさせられた。

この番組が提起した他のいくつかの大きな問題に、

それぞれ思うところはあるけれど、

あり過ぎてきりがないので触れるのをやめておく。

一番最後に出されたその農業の様子は、地域で循環し完結していて、

まさに『地産地消』だったのだが、

効率の考え方の方向が思うものと違っていておもしろかったのだ。

 

自分が何かの畑を作ろうとしたら、

1つの区画に1つの作物を植えるだろう。

その方が作業効率がいいからだ。

行う手入れ、投入する肥料、水やりのタイミングなど、まとまってやれればラクだ。

だが、そのアンデスの畑では、

1本の畝にトウモロコシとソラマメが交互に植えられ

隣り合わせることでお互いによい作用があるとのことだった。

マメ科の植物の根には、大気中の窒素を土壌に固定させる根粒細菌が付く。

ソラマメはそれでトウモロコシに窒素という栄養分を与える。

対してトウモロコシは、ソラマメに水分を与えるのだという。

いわば共生関係を作った農業だ。

人は、その関係がうまく行くように手助けをする感じなんだろうと思う。

それもまた効率的だ。

そして、その方が自然なのかもしれない。

 

稲作にしても畑作にしても畜産にしても、

大規模なのがいいと思われていた。

効率よく収量が上がるから。

番組によれば、今や世界の陸地の4割が農地化して

世界中の人の食生活が単一化してきている。

それで救われた命があるのだろうし、

その恩恵には確実にあずかってるから、

エラそうなことは言えないんだけど、

その負の側面が思ってた以上に大きくなっていることも、番組では示唆されていた。

そこで、効率の方向転換だ。

世界の各地域でアンデスの農法を見習い応用して、

地産地消を再構築する方法を探れないだろうか。

気候や土壌が異なるから、地域で取れる作物はそれぞれだけど、

同じように共生関係を作れる作物があるんじゃないかな。

というか、そういう研究あるのかしら。

 

アンデスの人々は、正確には『身土不二』だった。

地産地消』との違いは、旬でないものをビニールハウスなどで育てたりしないこと。

天候とにらめっこせざるを得ない農家の方々には頭が下がるし、

じゃあ代わりにお前がやれと言われても、申し訳ございませんと膝を折るしかないのだが、

ならできることは、産地と旬を意識して購入することなんだよな。

 

自然の摂理を無視して、手っ取り早い効率と欲を追うと、無視した自然が手ひどく跳ね返ってくる。

今、返ってきてるのに、人はまだ追えると思っているのかもしれない。