綴ルンです

思ったことを綴っただけさ

裁縫蜂

タイトルは『ソーイング・ビー』の直訳。

イギリスのソーイングコンテストの番組で、

NHK Eテレで放送している。

始まった当初は夜9時からの放送だったが、

何シーズンか後に、夜10時からに繰り下がって、

それから見ていない。

時折休みを挟みながら、先月まで放送されていたようだ(シーズン6だったらしい)。

私はこの番組で、自分の価値観を恥じた。

 

これは視聴者参加型番組で、

イギリス中からソーイングの愛好家が集まって、

与えられた課題に取り組む。

最初は10〜12人で始まるが、

3つの課題のでき具合で、1人ずつ(時には2人)脱落していく。

集まったソーイング愛好家たちは、普段から服や小物を作っている腕っこきで、

老若男女そろっている。

経験の長い人が有利に思えるけど、

若い人のアイデアが光る場面もあって、

どんなものができあがるのか、目が離せなかった。

3つの課題は、パターン(型紙)、リメイク、フリーなんだけど、

テーマは毎回違うし、使う素材が決められてたりするし、何より時間制限がある。

時間内に完成させるのは、評価の最低条件。

だから、コンテストなのに出演者が自分と戦っている姿を毎回見る。

時にはお互いにやり方を聞くなど助け合ったりも。

全員応援したくなる。

できた作品を評価するのは、服飾のプロ2人。

この2人、課題に取り掛かっている出演者たちの様子を見て、

布地選びや、服に施すデザインなどから、どんなところにつまづきそうかを的確に推測する。

この懸念が的中することが多いのは、さすがプロ。

そうしてだんだん人数が減っていき、

決勝は3人で行って、優勝者が決まる。

トロフィーは小さなトルソーでかわいい。

決勝の時は、出演者の家族やここまでで脱落した出演者たちがやって来て、とてもにぎやか。

温かな雰囲気で、見ている方も何だか嬉しくなってしまう。

というのが、数年前まで私が見ていた内容。

今は違う部分があったらすみません。

 

で、出演者が課題のシャツやワンピースやパンツ(ズボン。念のため)を懸命に作って、

作品を評価されるのを見ていて、思った。

服作るのって、改めて、手間が掛かってるんだな。

中学高校と、家庭科の被服の時間でシャツやスカートを作ったけど、

布を切り抜くのも、ミシンに糸を通すのも、

何かを間違えそうで怖くて面倒だったな。

筒にした袖を身ごろの肩に縫い付けるのなんて、

布を回してる時にシワになって、あらぬところも縫い込んじゃいそうで、

ずっと緊張してたよな。

ソーイング・ビーに出てた裁縫好きの人たちですら

ズボンの課題でファスナーの前立てをうまく作れなかった人が複数いたよ。

服って、作るの大変なんだ。

 

なのに、いかに安く買うか しか考えてなかった。

 

安いってことは、作った人の労働を安く買ってるってことだ。

国内製ではなくメイドインアジアばかりで、その国への対価を日本の価値で測るのは、適当かどうか分からないけど。

んでこれがブランド品になると、一気にムリムリムリな高価格になるのも極端なのだが。

少なくとも、服の価格を安さばかりで追うのは考え直さなければならない。

だって、自分で作れないもの。

母の時代は服も自分で縫うのが普通だったようだ。

が、今自分で自分の服を縫うのは、仕事にしている人か仕事にすべく学んでいる人か趣味の人かだ。

 

ファッションには流行があって、

経済を回すために消費は必要なことだけど、

私は昔から流行に無頓着なおかげで、持ち服の寿命が長い。

ならば、適正と思える価格で服を買って、

長く着られるようにしよう。

そう気付かせてくれた番組だった。

シーズン過ぎたり売れ残ったりして安く服を買えた時はありがたし。

多少のほつれや縫い目の歪みなんて何でもないわ。